[副校長] 厳冬の朝

厳冬の朝
月曜日の大雪から週末の今日まで、厳しい寒さの毎日だった。街の日陰となる場所には、雪がまだかなり残っている。雪対策を何もしていない私のクルマ。雪道は危険なので、火曜日から週末まで電車での通勤となった。

普段より早い時刻に目覚ましをセット。その分就寝時間も早めて、準備完了。そして翌朝・・・起きられない。早く目は覚めるのだが、寒さにめっぽう弱いため布団から出られないのだ。「早く起きられたのだから、あと10分こうしていよう」「あと5分だけ布団にもぐっていても、間に合うはず」「電車一本遅らせても、いいんじゃねぇ?」なんて自分に言い訳をしながらの朝。どんなに都合よく解釈をしたり言い訳をしても時間だけは容赦なく過ぎて行く・・・。朝起きる行為が、なんだか人生そのものに思えて来た。「今やらなくても大丈夫」「なりたいものでなく、なれる進路でいいんじゃねぇ?」そんな言い訳をしながらの毎日。そんな中でも結局は、自分で動き出さなければ何も始まらない事を十分に分かっている。長い人生にとって中高生時代は、厳冬の朝のような感じに似ていると。

ならば、ここは一念発起。「えいやっ!」っと布団をはいで、冷たい水で顔を洗い、お気に入りの服を着て家を出よう。確かに厳冬の朝は寒さに震えあがる。しかし朝焼けに照らされた銀世界の街、白い息をはきながら黙々と駅へと向かう人々、凍った路面に足をとられながらも楽しそうに笑う女子高生たち。布団の中では決して見ることの出来なかった、同じ時代を生きる人々の息吹を感じられる。自分の中で忘れていた事や眠っていた物が、湧き出しても来るはずだ。

駅に向かう道すがら、朝がこんなに気持ち良いこと・姿勢よく歩くのがこんなにも楽しいことを、随分長い間忘れていたことに気づく事が出来た。人生の朝を生きる中高生諸君、自らの意志で動き出してみないか? 布団の中にいるよりも何倍ものキラキラを見つける事が出来るのだから。そのキラキラを自分の心の中に積み重ねていくことが出来るのだから。

「もうしばらく電車で通勤してみようかな?」そう感じ始めてる自分に、なんだか嬉しくなった。

 

2018.1.27  副校長 伊坪 誠

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