[副校長] 春待ち人

春待ち人
待ち望んでいた桜の季節は寒の戻りなど悪天候の日が多く、例年のようにのんびりと花見に繰り出すといった事が出来ぬまま終わろうとしている。こんな春もあることを、今更ながらに思い知らされた。

春は出会いや始まりのシーズン。しかし誰もが夢だったり希望だったりに溢れているとは限らない。希望の進路が叶わず失意の中で新生活を始めている者、新たな環境に馴染めず戸惑っている者...。数年前の春は日本中が不安の中で桜花を見上げていた事を思い出す。

桜の花は咲いているときは華やかで人心を集めるが、散ってしまった後は見向きもされない。時に害虫が繁殖し目の敵にされる事も。しかし花を散らした直後から、桜は次の春に咲かす花の準備を始めると聞く。だとしたら、悪天候に見舞われ思うように咲き誇る事がままならなかった今年の桜木も、今はもう次の開花の準備を始めていることと思う。

例年と同じような春でなくても、皆と同じような笑顔になれなくとも、次に咲くときに向かって静かに準備を始める春。そんな春が、人にも時に必要なのかも知れぬ。高校生の君たちが、次の春には笑顔になれるよう応援する。そんな本校の一年がまた、動き出した。

 

2017.4.13  副校長 伊坪 誠

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