[副校長] 私のMVP選手

「私のMVP」

「それにしても大した活躍である」というだけで、大谷選手の事だろうと想像出来てしまう程、大リーグ前半戦での彼の活躍は凄まじかった。連日のように海の向こうから入ってくるホームランの知らせは、昨日のニュースなのか今日の出来事なのか分からなくなる程である。自分なぞは、大谷選手の活躍を毎朝スマホニュースで確認するのが、すっかり日課となっている。コロナ禍が続き、沈んだ空気が覆う日常の中、観る者を元気にさせてくれる彼の活躍や立ち振る舞いは、もはや至宝と言っても過言でない。彼が打席に立つと、客席からMVPの合唱が響き渡るらしいが、私も同感。今すぐにでもMVP(最優秀選手)として讃えたい。

ベビーフェイスで表情豊か。連日記録を塗り替え、観る者をワクワク笑顔にしてしまう大谷選手。そんな彼に匹敵する人物が、私の身内にもいる。昨年の夏に東京に暮らす娘夫婦の間に誕生した子。つまり私の孫である。

生まれてからの彼の一年は、記録更新の連続だ。寝返りが出来たと思ったら、ハイハイを始め、次に会った時には掴まり立ちが出来るようになっていた。今では、いつでも歩き始めそうな勢いである。彼の成長は、間違いなく家族をワクワクさせ笑顔にしてくれている。その様子を見守りながら、我が家でも二人の娘が子供だった頃、親として子供の成長に沢山の元気をもらっていた事を思い出した。もちろん、たまにしか会わない孫とは違い、日々顔を合わせている自分の子供には、その言動に腹を立て、険悪な関係になる事もあった。しかし、嫌なことの何十倍も何百倍も子供達から元気をもらっていたのだということが、子育てを終えた今、実感として胸の中に浮かんでいる。

大人になる直前の高校生の皆さん、きっと皆さんも誰かにとっての大谷選手。あなたの毎日の活躍や成長が、誰かをワクワク元気にする。えっ!?「連日のホームランや目の覚めるような剛速球なんて、自分には無理です」だって? ご心配なく、そんな物は必要ありません。大切なのは、健康、挨拶、前向きな気持ち。小さな事でも構いません。身のまわりの様々な事の中で、出来なかった事が少しずつでも出来るようになること。そのためのやる気と決意、行動を日々の中で積み重ねて行けば良いだけです。

なに!? 「やる気や行動が続かない」だって? ずーっと続けなくても、度々のスランプでも構いません。途切れた回数分復活すれば大丈夫。あとは、その間隔を短くして行けたなら、気づいた時には今の場所よりも遙か遠く高い場所に到達している事は間違い有りません。これはイチロー選手が打率に拘らずに、一本一本のヒットを大切にした事と同じです。

周りを笑顔や元気にするあなたの毎日は、あなたを大きく成長させる。どこの世界でも活躍出来る大人としてのベースが出来る。こんなにも美味しいことに、やらない理由を並べて取り組まないって手は無いでしょう。

「自分の頑張りなんて、周りは期待していないよ」ですって? そんな事は有りません。現に「本校在学中、出来なかった事が出来るようになり、次の社会に巣立つ時には、就職でも進学でも胸を張って臨んで行く。そんな君になる応援をしたい」と望んでいる本校は、間違いなく君の成長にワクワクさせられているのだから。

 

さぁ、夏休みが過ぎれば、一年も後半戦。

自身の胸に、MVPの歓声を響かせよう。

 

 

2021.7.10

 

霞ヶ関高等学校

副校長 伊坪 誠

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