[副校長]  未来へ

未来へ

今年もまた卒業シーズンである。長い教師生活で今までに何度も若者を社会に送り出しているが、その先の社会は年々不確実なものになってきているようだ。国内では経済・教育などの格差拡大や少子高齢化の問題。世界的には国や宗教の対立の問題。また技術的にも、ICT化やロボット化の進展により、今ある仕事が数年後にはなくなるかも知れない。この先の世界は、どのような方向に向かうのか誰も分からない不確実な時代と言えよう。そんな社会の中で私たちは、どう生きればよいのだろうか。

人間関係や経済的理由によるもの、自分の夢の実現のためなど、キミたちが本校に入学した理由は様々。世間の多くの者達が全日制高校で学び卒業していくという流れからすると、キミもご家族も通信制高校に通う事自体が不安であり冒険と感じたのではと思う。今もし私が中学生だったら、大きな群れから一人外れるような進路選択は不安で出来なかったかも知れない。今もし私が高校生だったとしたら、学校を替わる事は怖くて出来ないかも知れない。当時の私では、それだけの勇気は持ち合わせていなかった。しかし君たちはそれを選んだ。決断してここに立ったのだ。そして、本校での高校生活で、キミたちは成長した。だからこそ、今こうして卒業証書を手にしているのだ。そう思うとキミたちの勇気と実行力に、敬意を払わずにはいられない。

キミたちは、進化論を提唱したダーウィンを知っていると思う。彼の研究によると、生物界では最も強い者が生き残るのではないそうだ。最も賢い者が生き延びるのでもないらしい。唯一生き残れるのは変化出来るものだということである。だとすれば、これからの不確実な社会の中で生き抜けるのは、この数年間で大きなチャレンジと変化を遂げてここに立っている君たちである。是非これからの社会でも自信を持って、生きて行って欲しい。

生き物は生き抜くための変化の中で、大空を飛ぶ翼や速く走れる足を手にいれた。人もまた同じ。壁を感じるとき、人は成長するのだ。
これから歩んで行く社会の中でも多くの壁が待っているだろう。しかし怯むことなく挑戦と変化を続けて欲しい。そしていつの日か、未来という大空を、悠々と飛び続ける翼を得たキミと再会しようではないか。

最後に本校の生徒玄関に掲げてある言葉をキミに送ろう。
「Change Challenge」                  祝 卒業

 

2016.3.17  副校長  伊坪 誠

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