[副校長] 春風
春風
まだ吹く風は冷たく、厚手の上着が手放せない毎日であるが、立春の声が聞こえ出すと身の回りにある春を探したくなる。膨らみ始めた梅の蕾。遅くなっていく日没。穏やかな日差しの日に吹く心地の良い風。ひとつひとつ春を見つけては心が軽やかになる。
そんな春の気配に促されるように、本校では職員室を中心に模様替えが始まった。不要なものを処分し、棚を大移動。壁の色も塗り替え、遊び心も加えた。PTAからの資金援助もいただいているが、なるべく低予算に抑えたい。そのため外注はせずに、全て自分たちの手作りだ。なので、思いどおりに仕上がるかは自信がない。それでも、あたたかで快適な空間になればと願っている。
学校は学びの場・安らぎの場・共に成長する場。それは生徒だけではない。教職員や保護者の方々にとっても、そうでありたい。ここに来るとホッとする。優しい気持ちになれる。自分と冷静に向き合え、また一歩成長出来る。ここに集う全ての人にとってのオアシスであり、ホームタウンになりたいのだ。
ほんのりと優しい春風に包まれると、人の心も穏やかになる。陽だまりで春の日差しを浴びれば、元気と勇気が湧いてくる。新しくなった職員室が生徒と先生にとっての春風や陽だまりのような存在になり、今以上に笑顔が増えればどんなに素敵なことだろう。そして、その空気が学校中に広まって行ったのなら…。
在校生や新たに加わる仲間の喜ぶ顔を想像しながら、今日もまた模様替えは続くのである。
2017.2.3 伊坪 誠